「ウドの大木」という慣用句があるので、一見役に立たないようなイメージがあるのですが、ウドは大切な生薬の一つです。
小野蘭山は『本草綱目啓蒙』の果之九・山草類下の「独活(どっかつ)・羗活(きょうかつ)」の項目でこう述べています。
「夏以降に、薹(とう:花軸)が伸びてくる。秋になると、枝の先に小さな白い花がつく。数百の花が集まって、まるで傘蓋(さんがい:仏塔の頂点につける装飾)のようだ。後に実を結ぶ。」
漢方では、ウドの根を、生薬名「独活(どっかつ)」として利用します。
『神農本草経』では、独活は巻上に掲載され、「風寒の邪によって起こった痛みや、刃物による切り傷に用いられる。お腹のあたりから動悸が昇ってくる状態や、けいれん、女性の腹部にできるしこりにも用いる。」と記載されています。
「独活(どっかつ)」は、『神農本草経』の時代には、現在の適応範囲よりずいぶん広く使われていたようです。役に立たないどころか、もっともっと役に立つ範囲が広がっていきそうな生薬ですね。T.K.