西太后と食養生

2015年10月9日金曜日

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 西太后といえば則天武后と並ぶ希代の悪女といわれ、清朝末期に実質的な最高権力者として君臨し贅の限りを尽くしたと伝えられています。

 夫・九代咸豊帝と実子・十代同治帝は早世。養子・十一代光緒帝は近代化を試みて政権の構造改革に着手しますが失敗、西太后によって南中海の離れ小島に幽閉され、のちに毒殺されたといわれています。

 しかし、見方を変えると73歳まで寿命を保ち頭脳明晰で健康な彼女が清朝の屋台骨を支えることになり、その結果、悪役にされたのかもしれません。

 西太后は毎回の食事に100皿以上の料理を食卓に並べたそうです。確かに贅沢極まりない行為ですが、皇帝の健康を担う漢方の侍医と専属料理人が献立を考えたそうですから、彼女の役目は命を保つことだったのでしょう。

 そして、「お気に入り」の料理があっても箸をつけるのは少量で、摂るのは数品だったと言われています。「好きなものを好きなだけ」は許されなかったのでしょうが、むしろ彼女は自分の立場をわきまえて摂食したと思うのです。

 彼女の食事は3つのバランスを考えて作られたといわれています。

①栄養のバランス 
 肉料理が比較的多めだったそうですが、野菜の種類と量も同程度に多く、豆料理を毎回加え、動植物蛋白質をバランス良く揃えていました。

②味のバランス
 酸・苦・甘・辛・鹹(塩味)の五味と青・赤・黄・白・黒の五色の食材に配慮し肝・心・脾・肺・腎を養う工夫がされていました。

③香りや彩りのバランス
 嗅覚、視覚を刺激し食欲が湧く工夫がされていました。

 私たちが彼女と同じような食卓を整えるのは困難ですが、五味・五色を心掛け腹八分の摂取に試みることは出来るかもしれません。

 私たちには和食文化があります。なかでも懐石料理は西太后の食事に劣らない構成内容です。
 お弁当箱を利用して容器を1回分の摂取カロリー量に合わせ、主食・副食を彩り良くあしらうとバランスの良い食事になります。(Y)


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